私とまさきはネットで知り合った。そう言うのは最近じゃ珍しい事じゃ無いと思う。ネットから現実へ、その一歩を踏み出すのは容易じゃなかった。例えネット上で好きだ何だと言っていたところで、言葉の遣り取りだけで相手の人間性を測るのは難しいし、写真の交換をしたって、電話でどれだけ喋ったって、相手を「分かる」って言うのは根本として難しいものだと思う。
それは、確かに実際に逢ったって「分かる」訳じゃないけれど、やっぱり顔を見て、目を見て、「分かる」事だってあると思う。
それに、ネットは距離を容易に超えられるけど、現実として住んでいる場所の距離が遠ければ、ネットから現実へと踏み越えるのは本当に難しい事だ。そう言う意味で、まさきと私は、「難しい」関係だったと思う。
文字だけの遣り取りはどうしてこれだけ思いが募るのだろう?
文字だけなのに、どうして私はこんなにまさきに惹かれるのだろう?
その思いが何なのか私にはよく分からなかった。好き、と言う言葉は簡単に言えるものだけれど分類がとても難しいと思う。どういう好きなのか?男として好き?友達として好き?それすら分からなくて、私はとても戸惑った。
文字だけでまさきの本質が分かる訳じゃない。けれどその一端は伝わってくる。それをどこまで受け取ればいいのか。
電話で喋るまさきの声はとても優しい。まさきの声で「あいら」と呼ばれると、それだけでふんわりと優しい気持ちになる。そして、力が抜けてふにゃっとなりそうになる。
いつまでも聞いていたい気持ち。その声を直に聞いてみたいと願う気持ち。
こんな気持ちになるなんて自分では思っていなかった。